神戸大学極域協力研究センターの柴田教授とドイツ・フランクフルト平和研究所のフラム主任研究員は、南極氷床の融解を遅らせる技術(南極ジオエンジニアリング)のガバナンス上のリスクを解明する研究を発表した。地球温暖化対策として注目されている南極ジオエンジニアリング。柴田教授らは、その実施には国際ガバナンス上の重大なリスクが伴うと指摘している。特に、南極条約の前文や第1条に明記されている平和的目的に照らして、巨大インフラの設置がもたらすリスクを詳細に分析している。──具体的には、決定権の所在が不明確であるため、意思決定の透明性や責任の所在が不明確となり、リスクが増大することを指摘している。また、南極条約で棚上げされている領土権を巡る紛争が再燃する可能性があり、特に資源開発や環境保護に関する利害対立が激化する恐れがあることや、重要インフラの防護策が不十分であるため、インフラの脆弱性が高まり、リスクが増大するとしている。これらの観点から、南極ジオエンジニアリングを進める構想は重大なガバナンス上のリスクを伴うと結論付けている。研究成果は、イギリスの王立国際問題研究所の機関誌『International Affairs』にポリシー・ペーパーとして発表され、国際的な政策議論に学術的なインプットを行うことが期待される。
情報源 |
神戸大学 プレスリリース
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機関 | 神戸大学 |
分野 |
地球環境 環境総合 |
キーワード | 気候変動 | 環境政策 | 南極条約 | ガバナンス | 極域 | 氷床融解 | 南極ジオエンジニアリング | 国際ガバナンス | 国際法 | 海面上昇対策 |
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