九州大学大学院理学研究院の岡崎教授らの研究グループは、最終氷期(約2万年前)の日本海水温を復元することに成功した。──研究グループは、ガラス質の骨格を持つ珪質鞭毛藻というプランクトンに注目し、現在の北太平洋に生息する珪質鞭毛藻種の分布と水温の関係を、日本海の北海道西方と福井沖で採取した海洋コア試料中の珪質鞭毛藻群集に当てはめることで、過去2万年間の水温変動を復元した。その結果、最終氷期の日本海水温が低塩分環境であったことが確認され、福井沖の年平均水温は約5℃で、現在のオホーツク海並みであったことが明らかになった。本成果は、日本列島の気候や自然が過去2万年間にどのように変遷してきたかを理解するための基礎的な情報を提供するものである。さらに詳細な気候変動のメカニズム解明や、他の地域との比較研究が期待される。