東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループは、砂漠化が進行する北東アジアの草原地域において、異なる特性を持つ2種類の在来植物を組み合わせて植えることで、砂丘の安定化と風食抑制が同時実現することを実証した。──本研究では、現地で実施されている禁牧柵および草方格を設置し、4年間にわたる現地調査が行われた。2種類の在来植物の混播による砂丘固定効果を調査した結果、イネ科多年草は早期に高い被覆率を示し、マメ科低木は3~4年目に被覆率が増加することが確認された。また、植生被覆率が約5%を超えると風食量が急激に減少することが判明し、この「閾値」が砂漠化対策における具体的な目標値として重要であることが示された。──本成果は在来植物を用いた砂漠化対策の有効性を裏付けるものであり、砂漠化対策の計画立案や効果検証に対して具体的な指針を示すものとなっている。今後は、さらに長期的な観察や異なる気候条件下での検証を行うことで、より効果的な砂漠化対策技術の開発が期待される。