欧米では、XPRIZEやEU Horizon Prizes、NASAなどが主導する懸賞金型の研究開発(R&D)が広く普及しており、宇宙、医療、AIなどの分野で成果報酬型の技術革新が進んでいる。これらは多様なプレイヤーの参加を促し、社会課題の解決と産業創出を両立する手法として注目されている。──日本では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がこの方式の先駆者である。NEDOは5月9日、NEDO懸賞金活用型プログラムの一環として、「生成AI分野」に特化した新たなコンテスト「GENIAC-PRIZE」の公募を開始した。生成AIの社会実装を加速することを目的とし、最大総額約8億円の懸賞金をかけて技術開発を競うものとなる。──今回の公募では3領域4テーマが設定されている。領域1は「国産基盤モデル等を活用した社会課題解決AIエージェント開発」で、①製造業の暗黙知の形式知化、②カスタマーサポートの生産性向上という2つのテーマに細分化されている。領域2は「官公庁等の審査業務効率化」、領域3は「生成AIのリスク探索および低減技術の開発」で、それぞれ1テーマずつ(③官公庁の審査業務効率化、④生成AIのリスク探索と低減技術の開発)が設定されている。各テーマで上位3者に懸賞金が授与されるほか、トライアル審査や特別賞も設けられている。──5月26日に応募説明会、2026年3月に表彰式、同年5月に懸賞金交付が予定されている。NEDOは、8億円という規模感もさることながら、課題設定の精緻さと実装志向の高さが、国内外の技術者や研究者の挑戦心を刺激する事業と訴求している。単なる技術提案にとどまらず、実用化・事業化を見据えた成果が求められる点で、従来の研究助成とは一線を画すものであることが間違いない。日本発の生成AIが、社会にどう根を下ろすか、今後の成り行きが期待される。
情報源 |
NEDO ニュースリリース
経済産業省 ニュースリリース |
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機関 | 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 経済産業省 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 社会実装 | 生成AI | 懸賞金型 | 暗黙知 | カスタマーサポート | 官公庁業務 | リスク低減 | 技術公募 | 実用化支援 | NEDOプログラム |
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