京都大学防災研究所・竹見哲也教授らの研究グループは、都市部の排熱削減が夏季午後の局地豪雨を抑制できる可能性を、スーパーコンピュータを用いた気象シミュレーションによって明らかにした。
研究グループは、2023年8月27日に大阪市で発生した局地的豪雨の実データをもとに、都市部の排熱量を10~50%段階的に削減した仮想環境を数値気象モデル上に再現し、積乱雲の発達および局地的降水の強度・量への影響を定量的に評価した。その結果、大阪中心部20km四方で排熱を10%削減すると、極端降水強度が9%、積算降水量が18%減少することが示された。こうした減少効果は、都市の地表面からの排熱が大気下層を不安定化させ、積乱雲の急発達を促す一方で、排熱を抑えることで大気が安定し、降水が抑制されるという物理過程によってもたらされると考えられた。
本研究は、都市のヒートアイランド対策が単なる暑さ対策にとどまらず、気象災害の制御という新たな応用可能性を持つことを示している。今後は、どのタイミングで、どの範囲の排熱をどの程度削減すれば効果的かを探る研究の進展が期待される(掲載誌:Theoretical and Applied Climatology)。
情報源 |
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機関 | 京都大学 |
分野 |
地球環境 健康・化学物質 大気環境 |
キーワード | ヒートアイランド | スーパーコンピュータ | 積乱雲 | 都市排熱 | 暑熱順化 | 局地豪雨 | 気象制御 | 気候適応策 | WRFモデル | 降水強度 |
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