東京ガスは、関西電力およびシンガポールのThree Trees社(3T)と連携し、ガーナ共和国におけるカーボンクレジット創出プロジェクトに参画する契約を締結した。――本プロジェクトは、ガーナ中南部の荒廃地に植林を行い原生林を再生することで、国際的な基準である「ICVCM」のCore Carbon Principles(CCPs)に準拠した信頼性の高い除去・吸収型カーボンクレジットを、40年間で約120万トン創出する計画である。
カーボンクレジットとは、温室効果ガスの排出削減・吸収量を取引可能な形で認証する制度であり、国際的にはVoluntary Carbon Market(VCM)を中心に市場が拡大している。東京ガスは、2019年に国内初のカーボンオフセット都市ガスの販売を開始して以降、独自の品質基準策定や第三者検証の導入、J-クレジット創出の推進などを通じて、信頼性の高いクレジットの調達・供給体制を構築してきた。
本プロジェクトでは、植林によるCO₂吸収に加え、生物多様性の向上、地域雇用の創出、インフラ整備などのコベネフィットも重視されている。東京ガスは、東京海上グループと共同策定した「人権尊重のためのフレームワーク」を適用し、地域コミュニティへの影響評価と改善提案を通じて、クレジットの社会的・環境的品質向上に貢献する方針である。
同社と関西電力はこれまでVPP(仮想発電所)や家庭用燃料電池の分野で協業しており、本プロジェクトはそうした連携をカーボンクレジット分野へ拡大するものである。
3Tは両社が出資するICJ2号ファンドの支援を受けた企業。現地での施工やリモートセンシング解析、生物多様性評価などを一貫して担う。
東京ガスは、ソリューション事業ブランド「IGNITURE」のもと、脱炭素・レジリエンス向上と経済性の両立を目指すサービス展開を進めている。本プロジェクトは、東京ガスが掲げる「Compass2030」ビジョンに基づき、CO₂ネット・ゼロへの挑戦と価値共創型エコシステムの構築を推進する取り組みの一環である。