琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設・和智仲是(わち なかただ)助教らの研究チームは、東京農業大学の研究者および西表島在住の昆虫愛好家・庄山守氏らと協働し、石垣島の固有種とされてきた甲虫「イシガキハイイロハネカクシ」が西表島にも生息していることを確認した(掲載誌:Check List)。
本種は1997年に石垣島で記載された大型ハネカクシ科の一種であり、これまで西表島からの報告はなかった。発見のきっかけは、2025年3月に西表研究施設で開催された公開講座において、昆虫愛好家の庄山氏が「西表島でも採れる」と指摘したことにある。講座後にライトトラップを設置したところ、複数の個体が採集され、さらに施設職員が偶然採取した個体も本種であることが判明した。
庄山氏は2004年から20年以上にわたりライトトラップによる観察記録を蓄積しており、今回の調査結果と照合したことで、本種が一時的に現れたのではなく、長期的かつ安定的に西表島に生息していたことが明らかとなった。また、従来「春の虫」とされていた本種が、西表島では冬季(1〜2月)に多く採集されていることも判明し、活動時期に地域差がある可能性が示唆された。
本研究は、地域住民による長期観察と研究者の調査が公開講座を通じて結びついた成果であり、市民科学の有効性を示す好例である。研究者は、「地域に研究施設が存在し、住民と研究者が日常的に交流できる環境が、情報共有と発見につながった」と述べている。
情報源 |
琉球大学 研究成果
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機関 | 琉球大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 固有種 | 地域連携 | 生物多様性保全 | 市民科学 | 季節性 | 自然史研究 | 生物分布 | 昆虫多様性 | ハネカクシ科 | ライトトラップ |
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