国立科学博物館と昭和大学の研究グループは、太平洋の深海に生息するハゲナマコ属の種多様性を遺伝子解析により再評価した。──ナマコの標本は原型をとどめている期間が短いため、形態比較が困難であり、未解明な点が多い。そこで、研究グループは、国立科学博物館を含む世界各地の博物館に収蔵された標本を用いて、遺伝子解析と形態比較を網羅的に実施した。具体的には、COI遺伝子を用いたDNAバーコーディングとゲノム全体の一塩基多型情報を比較するMIG-seq法を用いて、ハゲナマコ属の種境界を見直した。その結果、これまで1種とされていたムラサキハゲナマコが、4種の新種候補を含む、遺伝的特徴が異なる10個であることを明らかになった。──この発見は、深海生物の多様化様式の解明に寄与するだけでなく、深海生態系の保全にも重要な示唆を与えるものである。今後、未記載種の詳細な形態比較を進め、新種記載を行う予定であり、さらに広範な地域での遺伝的・形態的比較分析を進めることで、深海生態系の多様性理解が一層進むことが期待される。
情報源 |
国立科学博物館 報道関係資料(プレスリリース)
昭和大学 プレスリリース |
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機関 | 国立科学博物館 昭和大学 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | 深海生物 | 遺伝子解析 | 種多様性 | DNAバーコーディング | 深海生態系 | ハゲナマコ属 | 新種候補 | MIG-seq法 | 形態比較 | 生物多様化 |
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