(株)神戸製鋼所や沖縄県与那原町、地元漁協等で構成される「木材活用増殖礁沖縄地域協議会」は、水産庁の「地域で産出される木材を活用した増殖礁の実証事業」に採択されたことを受け、沖縄県中城湾内の二か所に試験礁を設置し、事業を開始した。同事業は、地域で産出される木材や松くい虫の被害木を活用して、水産生物の増殖に効果的で、沖縄の気象・海象条件にも適した増殖礁の開発を進めるとともに、自然再生型・環境創造型の技術の確立・その普及等に資することを目指すもの。今回開発した木材活用増殖礁は、藻場となる鋼製の増殖礁の中央部に、地域材を活用した木材ユニットを組み込む構造で、魚類の餌場としての機能や、海中に有機物(腐植質)を溶出させる機能が期待されるほか、数年での劣化・腐敗が想定される木材部は、容易に交換できる設計となっている。また、同社らは今回、木材ユニットを単独で設置する「単独型」も設置し、モニタリングによる増殖効果の比較検討を行う。なお、平成23年度には、松くい虫等の被害にあった針葉樹(琉球松など)の使用も予定しているという。