(独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所を中核とする研究グループは、豚舎汚水中のリンを簡便な装置で結晶にして回収し、排水の水質を改善する技術を開発した。この技術は、リンを結晶化するMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)反応を利用したもので、汚水中にMAPの結晶が付着する網を入れて通気することで、水質汚濁物質であるリンを効率的に回収することができるようにした。現在国内の3軒の養豚農家において実証試験を実施中で、それぞれ良好な結果が得られているという。また、回収したMAPは肥料や陶磁器原料として利用できることが明らかにされつつあり、価格が高騰しているリンを再利用する技術としても注目される。この技術は、汚水中の水質汚濁物質の濃度低減と有限な資源の回収が同時に実施できる養豚農家で実施可能な技術であり、実用化に向けた今後の取り組みが期待されている。