2007年の冬、北極の大部分で、海氷の厚さが、過去5年間の平均値より約50cmも薄くなっていたことが、ロンドン大学のジェイルズ博士らの調査で明らかになった。2002~2008年まで、衛星を利用して北極の海氷の厚さを測定したところ、緩やかに薄くなる傾向にあったが、海氷面積が観測史上最小を記録した2007年夏以降、氷の厚さも急激に薄くなったという。冬季、北極の半分以上の地域を対象に海氷の厚さが測定されたのは初めてで、海氷の薄い地域が拡大し、古い氷も新しい氷も薄くなっていることがはっきりと確認された。また、2008年夏は北極が比較的涼しかったにもかかわらず、海氷面積が観測史上2番目の小ささとなり、海氷面積の縮小が温暖な気象条件のためでないとしたら、冬に氷が薄くなった原因は何かという疑問が浮上している。ジャイルズ博士らは、海氷面積や海氷の厚さの変化がどのように生じるかを解明することが重要だとして、2008年冬もモニタリングを継続する。