アメリカ国立科学財団(NSF)などの科学者らは、塩性湿地のイガイ(貝)と塩水性湿生植物が相利共生関係にあり、干ばつなどの極端気象現象による被害からの回復に重要な役割を果たしていると報告した。海洋生物学者らの研究チームは、アメリカ南東部の2年間の深刻な干ばつ後の2012年6月に、優占種であるスパルティナなどの湿生植物が干ばつで死滅したとみられる海岸沿いの湿地帯9カ所を選定し、調査した。その結果、植物群落周囲の泥中にイガイの集団がいる場所では植物が生き延びていることが判明した。研究者らは、イガイが湿地の表面を畝状の貝殻で覆うことによってカニが集まり、カニの掘る地中の穴に水がたまるせいで保水力が高まり、土壌塩分が低下して植物が保護されるものと推測している。生き延びた小さな草地は干ばつが解消すると急速に拡大し、10年足らずで回復するが、イガイがない場所では回復に100年以上かかる可能性があるという。研究者らは今後、イガイ移植が低コストの湿地回復策になるかを調査するとともに、海藻の藻場やサンゴ礁などの他の危機的生態系も、キーストーン種の相利共生関係によって保護されている可能性を調べるという。
情報源 | アメリカ国立科学財団(NSF) プレスリリース |
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国・地域 | アメリカ |
機関 | アメリカ国立科学財団(NSF) |
分野 | 地球環境 自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 気候変動 | アメリカ国立科学財団 | NSF | 植物 | 貝類 | 塩性湿地 | 回復力 | 極端気象 | 相利共生 |
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