世界資源研究所(WRI)は、2020年2-3月に発表された環境に関する世界中の研究概要を紹介した。主な研究は以下の通り、1)熱帯林の世界的な減少により炭素吸収源が減少しており、急速に減少していくアマゾンの熱帯林では2030年代以降に炭素吸収効果が止まると予測した。2)受粉の媒介で重要な役割を担っているマルハナバチが温暖化により北米では46%、欧州では17%減少した。3)大規模な生態系の崩壊がわずか数十年で急速に起きる可能性があり、アマゾンの熱帯雨林は早ければ2021年に転換点を迎え、カリブ海のサンゴ礁は2035年までに完全に消滅する可能性があると予測した。4)2015-2016年のエルニーニョ現象で深刻な干ばつと猛暑が発生したが、熱帯植生の回復が遅れているため、2017年末時点でも炭素蓄積量は干ばつ前のレベルに回復していない。5)世界のメタン排出量のうち、約30%は化石燃料からのものだが、これが約25%から40%も過小評価されていたことが判明した。また石炭採掘が終了した後も廃鉱はメタンを放出し続けるため、2100年には廃鉱からのメタン排出量が8倍に増加すると予測した。