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 沿岸塩生湿地の消失の原因は栄養塩流入、アメリカ科学者チームが報告

発表日:2012.10.17


  アメリカのウッズホール研究所等の科学者らは、海岸の塩性湿地の消失は、陸上からの栄養塩による可能性があるとの研究結果を報告した。塩性湿地は、陸と海をつなぐ重要な生態系で、魚類や鳥類の生息地となるほか、陸地からの汚染水浄化、防潮などさまざまな機能を果たしている。アメリカ東海岸など都市部沿岸では、過去20年で急速に消失しているが、原因はよくわかっていなかった。今回の研究では、科学者らは9年以上にわたり、都市部の下水や肥料に由来するのと同程度の窒素とリンを湿原内の水路に加え、何も加えない対照湿地と比較する実験を行った。その結果、湿原の草は、はじめの数年は緑濃く草丈も高く育ったが、根は生長せず、数年後に草は倒れ土壌が不安定化した。実験湿地は、対照群に比べ3倍の亀裂を生じ、やがて草のない泥地に代わったという。これまで、富栄養化は藻類発生を招き、貧酸素状態にして海洋生物を死滅させることは知られていたが、この研究で塩性湿地の消失の原因ともなることがわかり、下水処理や肥料の使用量削減が重要であることが確認されたという。

情報源 アメリカ国立科学財団(NSF) プレスリリース
国・地域 アメリカ
機関 アメリカ国立科学財団(NSF)
分野 自然環境
キーワード 下水処理 | 生態系 | アメリカ国立科学財団 | NSF | 肥料 | 栄養塩 | 生息地 | 富栄養化 | 塩性湿地
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