九州大学は、固体高分子形燃料電池の白金使用量削減に成功したと発表した。固体高分子形燃料電池は、クリーンでエネルギー効率が高く、かつコンパクトであることから、車や家庭用電源への本格的導入を目指して多くの研究開発が行われている。しかし、触媒として用いる白金の価格が高価なため、普及には白金の使用量を減らし、コストを削減することが急務となっている。今回、白金の粒径と担持密度を低減することで利用有効比表面積を増加させる戦略で、燃料電池セルに用いる白金使用量をこれまでの10分の1に削減することに成功した。また、開発した白金粒子は「のり」となる物質を介して導電性カーボンにしっかりと吸着する独自の技術を用いているために凝集しにくく、かつ白金粒子間の距離もより離れているので凝集が起こりにくいことも期待できる。これらにより、白金使用量の削減のみならず、燃料電池そのものの寿命を向上させる可能性がある。今後はメーカーと共同で実作動条件におけるテストなどを重ね、5年後の実用化を目指すという。