(独)日本原子力研究開発機構は、鹿児島大学と共同で、セシウムイオンを選択して吸着するタンパク質を発見したと発表した。多くのタンパク質が必須元素の金属を結合することは広く知られているが、これまでタンパク質には必須元素ではないセシウムを選択的に吸着する部位は知られていなかった。特に、福島第一原発事故による放射性セシウムの生物への影響を知るためにも、タンパク質におけるセシウムイオンの吸着のしやすさや吸着部位の構造を解明することは重要と考えられる。今回の研究では、高い塩濃度環境に生息する好塩性細菌が作る好塩性タンパク質に着目。X線結晶解析さらにX線の異常分散効果を利用した結果、好塩性βラクタマーゼ(HaBLA)にセシウムイオンを選択して吸着する部位を発見した。その立体構造情報の特徴を利用すれば、類似した部位を持つタンパク質を探すことができる。これにより、セシウムを蓄積しやすい可能性がある生物や生体内の組織を探し出すことができ、放射性セシウムを吸収しやすい生物を調べるための新たな手掛かりとなるという。