国立環境研究所と(国研)海洋研究開発機構、千葉大学などの研究者からなる国際研究グループは、2007年以降(以下「対象期間」)の大気中メタン濃度増加は、中国での石炭採掘や南アジア・東南アジア・南アメリカ・アフリカ地域での畜産業(反芻動物の飼養)の拡大・廃棄物処理などによって促進されたことを明らかにした。大気中のメタンは人間活動による気候変動や大気汚染の要因となる化学反応に関与しているが、その変動原因にかかる一致した科学的見解は得られていなかった。同研究グループは、十分に検証を行った「化学輸送モデル」を用いて、主に石油・天然ガス採掘によってもたらされたメタン濃度の増加が1988~1998年の間に鈍化し、1999~2006年に横ばいとなり、対象期間に入り、再び増加し始めたことを突き止めた。また、日本上空での航空機観測による検証を行った「モデルの逆解析」による解析により、対象期間中に放出が生じている場所や起源の詳細把握を実現した。緩和策の実効性向上に極めて有効な手段であるという。