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 愛媛大、猛禽類の肝臓から未知の人工化学物質を検出

発表日:2021.09.03


  愛媛大学を中心とする研究グループは、陸域⾷物網の頂点捕⾷者である猛禽類の肝臓から「残留性有機汚染物質(POPs)」と複数の新規POP 様物質が検出されたと報告した。POPsは環境残留性や⽣物蓄積性が⾼く、ヒト・野⽣動物種を対象とした継続的なモニタリングが行われている。同大学は、法的な規制や監視の対象とされていない化学物質(以下「非監視対象物質」)の国内検出事例が蓄積されつつあることから、それらの⽣物蓄積レベルや濃縮性などの態様の解明に取り組んだ。従来の定量分析法では非監視対象物質の同定が困難と考え、⼆次元ガスクロマトグラフ‒⾼分解能⾶⾏時間型質量分析計と独⾃に開発した解析プログラムを駆使した分析手法を考案した。当該分析手法を大阪府の動物病院から提供を受けた野生鳥獣の肝臓サンプルに適用したところ、猛禽類のサンプルに非監視対象物質(①C15骨格を有するCHL類縁物質、②DDT代謝物の同族体、③ポリ塩素化ターフェニル)が高濃度蓄積していることが明らかになった。①は初めて検出された化学物質で、陸域生態系における高い生物濃縮性が示唆された。非監視対象物質の化学構造の解明、さらには他の野生生物種への曝露実態調査や毒性評価に関する研究が必要であるという。

情報源 愛媛大学 プレスリリース
機関 愛媛大学 中津動物病院グループ
分野 健康・化学物質
キーワード POPs | 毒性評価 | DDT | 猛禽類 | 環境残留性 | ⽣物蓄積性 | 定量分析法 | C15骨格を有するCHL類縁物質 | ポリ塩素化ターフェニル | 生物濃縮性
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