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 京大など、水素の製造時CO2極小化プロセスを具現化

発表日:2021.12.24


  京都大学、九州大学および韓国・釜山広域市のBusan Development Instituteは、水素の製造時CO2排出量をゼロに近づけるプロセスを考案し、具体的なプラントのイメージを提示した。水素は利用時にCO2を排出せず、燃料電池などを活用することで電気や熱を取り出すことができる。しかし、製造時のCO2排出は無視できるものではなく、水分解やバイオガス等の改質生成などの脱炭素化が模索されている。京都大学等は「より低炭素な水素製造法」の創出に向けて、無尽蔵な天然資源の代表格である「森」と「太陽」に着眼した。当該プロセスの全体像は、太陽光をヘリオスタットで集熱タワーに反射させ、作り出された950℃(出口温度526℃)の熱を用いて間接的に「木質チップ」をガス化し、後段の合成ガス改質・水素製造フローにつなげるものとなっている。これまで太陽光・太陽熱は水素の工業的な生産に不向きと思われてきたが、前処理装置として「デュアルチャンバー流動床ガス化炉」を採用することで安定的な水素製造を実現した。太陽駆動先進バイオマス間接ガス化プロセス(Solar-Driven Advanced Biomass Indirect-Gasification)と名付けられたプラントの概念設計(主要な設備機器の配置、温度・圧力制御の考え方等)も行われている。英語表記の略称「SABI」には、「寂び」ある枯れた木から価値ある水素を作り出すという美意識が込められているという。国際的な標準評価手法にならいライフサイクル影響評価(Life Cycle Impact Assessment:LCIA)を行った結果、SABIのCO2排出量は水素製造1 kg あたり1.04 kg-CO2と試算され、既存の水素製造法の評価結果(対象:12手法、推計値:2.21~29.54 kg-CO2)よりも小さな値となった。実証研究を進めつつ産業界の助力を得ることで、5年以内の商用化を目指すと述べている。

情報源 京都大学 Latest research news
機関 京都大学 京都大学大学院総合生存学館(思修館) 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
分野 地球環境
環境総合
キーワード 木質チップ | 太陽 | 水分解 | 森 | 日韓共同 | 水素製造法 | デュアルチャンバー流動床ガス化炉 | 太陽駆動先進バイオマス間接ガス化プロセス | SABI | LCIA
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