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 NICT、電波を使ったリモートセンサのさらなる高度化を追求

発表日:2022.01.25


  情報通信研究機構(NICT)は、合成開口レーダー(SAR: Synthetic Aperture Radar)の地表面分解能を高め、災害・環境モニタリング分野などに応用できることを実証した。SARは、航空機や人工衛星から電波を送信し、地表面あるいは物体から反射して戻ってくるエコーを受信し、映像としてとらえることのできるリモートセンサ。雲や天候に左右されることなく、昼夜を問わず映像を取得できるというメリットを有している。原型は、1993~1996年にかけて、NICT(旧・通信総合研究所)とJAXAの前進である宇宙開発事業団によって開発された。ポラリメトリック(Polarimetric)・インターフェロメトリ(Interferometric)という先進的な機能を導入により、航空機搭載3次元高分解能映像レーダー(略称:Pi-SAR)としての熟度を向上させている。当時の分解能は数mであったが、NICTはその後も先導的な研究に取り組み、2008年に分解能30 cmで地表面を画像化することができる合成開口レーダー(Pi-SAR2)の開発に至っている。今回、後継システムである「Pi-SAR X3」による初の試験観測が行われた(実証年月:2021年12月)。広帯域(従来比で2倍の帯域)に対応した送受信機とアンテナ、広帯域の受信信号を記録するための高速・大容量の観測データ記録装置および観測データを準リアルタイムに処理して画像化する機上処理装置を搭載し、能登半島上空からの観測を行った結果、15cm 分解能で、従来比2倍の高精細画像を取得することに成功した。石川県輪島市近郊の田圃ではトラクターの轍(表土の凹凸)を明瞭に確認できている。今後、さらにシステムの最適化と高画質化を進め、2022年度から、さまざまな自然災害や環境モニタリングへの応用展開、ひいては船舶や漂流物等の海面監視といった分野での社会実装に向けた取組を推進するという。

情報源 (国研)情報通信研究機構 プレスリリース
機関 (国研)情報通信研究機構
分野 ごみ・リサイクル
環境総合
キーワード 高画質 | Pi-SAR2 | 合成開口レーダー | 分解能 | 災害・環境モニタリング | ポラリメトリック | インターフェロメトリ | 航空機搭載3次元高分解能映像レーダー | Pi-SAR X3 | 海面監視
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