(公財)日本自然保護協会(NACS-J)は、ラムサール条約湿地に登録された中池見湿地(福井県敦賀市)において、北陸新幹線工事後に湧水が減少している事などについて支援を継続していく。北陸新幹線は2015年に高崎駅から金沢駅間が開業し、敦賀駅(福井県)までの区間は既に着工(2023年までの開業予定)している。中池見湿地は、2012年にラムサール条約湿地に登録された25ヘクタールほどの小さな湿地で、60種以上の絶滅危惧種を含む約3000種の動植物が確認されている貴重な湿地である。NACS-Jと地元市民団体は、北陸新幹線について働きかけを行い、より環境影響の少ないルートへの変更と、2018年には条約ガイドラインに基づく国内初の「環境管理計画」の策定を実現していた。2020年にトンネルが貫通、2021年8月末にはトンネル内の防水工事も完了した。湿地本体には現時点で影響は出ていないものの、一部の谷の湧水が減少したまま戻らないことや、ヘイケボタルやシャジクモなど湿地の生き物の減少が確認された。今回、地元市民団体と事業者とで話し合い、水を確保する方法を検討・実施していくことで合意し、NACS-Jは継続してモニタリング調査や環境管理計画の実施継続のための支援を行っていくという。