環境省と厚生労働省は、令和8年4月1日から施行される水質基準の改正に伴い、「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」および「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)」に関する水道水の基準値を新たに設定した。――PFOSおよびPFOAは、有機フッ素化合物(PFAS)の一種であり、撥水・撥油性を持つことから工業製品や消火剤などに広く使用されてきたが、環境中で分解されにくく、蓄積性や健康影響が懸念されている。令和6年6月には、内閣府食品安全委員会がPFASに関する食品健康影響評価を公表し、これを受けて中央環境審議会が水質基準の見直しを答申した。
今回の改正では、水道水におけるPFOSおよびPFOAの合算値として0.00005mg/L(=50ng/L)以下という基準値が設定された。また、水道法施行規則も改正され、検査頻度は原則として3か月に1回以上とされた。これらの改正は、厚生労働省令第101号および昭和32年厚生省令第45号の一部改正として公布された。さらに、公共用水域および地下水においても、これまでの「指針値(暫定)」に代えて、正式な「指針値」としてPFOSおよびPFOAの合算値で50ng/Lが設定された。これにより、環境基準としての位置づけが強化され、監視体制の整備が求められる。
パブリックコメントの募集では2,734件の意見が寄せられ、国民の関心の高さがうかがえる。今後、水道事業者等は新たな基準値に基づく定期的な水質検査の実施と基準遵守が義務付けられる。