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 神戸大、魚類のマイクロプラスチック摂取をめぐる素朴な疑問を検証

発表日:2022.04.11


  神戸大学は、魚が食べたくなるマイクロプラスチック(以下「MPs」)は何色か?といった疑問を解決するユニークな実験成果を発表した。魚類は海水や淡水に含まれるMPsを直接、あるいは餌生物を介して摂取している。同大学は、MPsの色と経口摂取から排泄までの流れに着目し、4魚種(ニホンメダカ・ゼブラフィッシュ・インドメダカ・カクレクマノミ)を用いたストレートな評価方法を考案した。赤・青・黄・緑の4色と灰色のポリエチレン粒子を4魚種に給餌し、解剖した後に実体顕微鏡を用いた粒子数の計測を行う手順を基本とし、光を照射した場合、消灯した場合についても検討した。その結果、消化管内のMPsの数はカクレクマノミ、 ゼブラフィッシュの順に多く、他の2種はほどんど摂取していないことが明らかになった。MPsを最も食べていたカクレクマノミは「赤色・黄色・緑色」をよく食べ、「『青色・灰色』のMPsは食べられにくい」ことが分かった。また、こうした「色の嗜好性」パターンは消灯条件下では見られなくなることから、昼間に色を目で認識して捕食するカクレクマノミの習性が裏付けられた。さらに、全4種に緑色のMPsを給餌し、体外に排出されるまでの所要時間を計測している。その実験を通じて、とりわけカクレクマノミ個体の多くは24時間以内にMPsを体外に排出するが、排泄時間は個体間で大きく異なることが示唆された。MPsが海洋生物におよぼす実害や影響は未解明な点が多い。生体内に取り込まれても無毒なプラスチック素材の開発など、大胆な発想に基づく研究も始まっている。先ずは、今回の実験的検証の結果をMPsの生態(生体)毒性を評価する研究に役立ていきたいと述べている。

情報源 神戸大学 プレスリリース
機関 神戸大学
分野 ごみ・リサイクル
自然環境
キーワード ポリエチレン | マイクロプラスチック | 生体毒性 | ゼブラフィッシュ | カクレクマノミ | 生態毒性学 | 海事環境管理学 | 消化管 | 色の嗜好性 | 体外排泄時間
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