東京大学大気海洋研究所の研究チームは、海水魚と淡水魚におけるマイクロプラスチックの排出動態が異なることを明らかにした。──研究チームは、海水にも淡水にも適応できるジャワメダカを用いたシンプルな比較対照実験により、魚は淡水中より海水中でより多くのマイクロプラスチックを飲むことを明らかにしている(Pratiwi et al., 2023)。本研究では同様の実験を行い、環境によってマイクロプラスチックの体内残留時間が異なることを実証している。海水中では、消化管内の水の移動速度が速いため、マイクロプラスチックの排出が促進されるが、一部の粒子は腸に長く残存することが確認された。一方、淡水中では排出が遅いが、粒子は残存しにくい。これらの結果は、海水魚のほうが長期的にマイクロプラスチックの影響を受けやすく、有害性に曝される可能性が高いことを示唆している。──今後は、マイクロプラスチックの体内動態をさらに詳しく調査し、環境に応じた防除策の開発に成果を活用するという。