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 PM2.5「成分」の健康影響に関する新規疫学知見 東邦大と国環研など

発表日:2022.06.08


  東邦大学、慶應義塾大学、国立環境研究所、東京都環境科学研究所および北海道大学などからなる研究グループは、PM2.5成分と救急搬送との関連性を統計学的に分析した。PM2.5は複数の成分(炭素成分、硫酸イオンや硝酸イオンなどのイオン成分、鉄やアルミニウムなどの無機元素成分他)で構成されている。呼吸器系や循環器系疾患の原因であることが指摘され、「PM2.5の健康影響」に関する調査研究の成果が蓄積されてきた。これまでの調査研究はPM2.5全体の濃度を中心に据えたものが多かったが、現在は、PM2.5の健康影響は特定成分によるものか否かといったことが議論されている。同研究グループは、PM2.5成分濃度に着目して人の健康との関連性を調べる研究(疫学研究)によって、PM2.5と人の健康の理解進化を図った。東京消防庁より2016~2018年における東京23区内の全救急搬送約155万件のデータ提供を受け、転院搬送、負傷、事故などPM2.5とは直接的な関連性がないと考えられる搬送を除いた「急病による搬送(1,038,301件)」を解析対象とした。PM2.5粒子の成分は、東京都環境科学研究所(江東区新砂)の屋上で収集され、環境省のマニュアルに準じた方法で分析した。PM2.5全体濃度は、同研究所からほど近い晴海一般環境大気測定局の測定データを用いている。先行調査で得られた知見を踏まえ、「PM2.5濃度および各成分(搬送日と前日の平均濃度)」を調整し、「救急搬送者の増加率」との関連性を分析した結果、PM2.5全体濃度、総炭素・元素状炭素、硫酸イオン、アンモニウムイオンは「正の関連性」を示すこと等が明らかになった。

情報源 東邦大学 プレスリリース
慶應義塾大学 プレスリリース
国立環境研究所 報道発表
機関 東邦大学 慶應義塾大学 国立環境研究所 東京都環境科学研究所 北海道大学
分野 健康・化学物質
キーワード 疫学研究 | 救急搬送 | 炭素成分 | イオン成分 | 無機元素成分 | PM2.5の健康影響 | 特定成分 | 東京消防庁 | 急病 | 救急搬送者の増加率
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