(株)日立製作所は、産業用リチウムイオン電池の寿命を2倍にできるマンガン系正極材料を開発したと発表した。現在、民生用途のリチウムイオン電池では、正極材料の主原料としてコバルトが使われているが、コバルトは希少資源であるため、将来の安定確保が懸念されている。そこで同社は、コバルト以外の正極材料の候補として、資源が豊富なマンガンに着目。マンガン元素の一部を他元素と置換することで、正極材料の結晶構造を安定化させると同時に、耐酸性に優れた複合酸化物を混合することによって電解液へのマンガン溶出を低減することに成功した。同材料を用いて電池セルを試作し、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託研究の標準試験条件の下、試験を実施した結果、電池容量の低下を従来の2分の1に抑制でき、マンガン系正極材料を用いたリチウムイオン電池の寿命の約2倍である約10年以上の寿命を実現できる見通しを得たという。