九州大学大学院医学研究院、国立環境研究所および国立医薬品食品衛生研究所の研究グループは、酸化ストレスが消化管がんの原因であることを明らかにした。酸化ストレスとは、細胞内の酸化反応が増加し、細胞や組織にダメージを与える状態を指す。これまでさまざまながんのリスク要因として知られてきましたが、その具体的な分子メカニズムは十分に理解されていなかった。本研究では、DNA修復機構が正常に機能しない状態のマウスを用いて、酸化されたDNAが消化管がんの発生を促す一因であることが突き止めている。DNA修復酵素であるMUTYHの機能を欠損させたマウスでは、慢性的な酸化ストレス状態が続くと、早い段階で正常組織内でのDNAの変異が増加し、その後のがんの発生頻度も著しく増加した。この結果は、酸化されたDNAが消化管がんの誘発に重要な役割を果たすことを示唆している。ヒトの遺伝性大腸がん家系におけるがんの発症リスクの管理に役立つ知見となる。特に、MUTYHが酸化されたDNAによる突然変異を減らすことで、酸化ストレスによる消化管がんの発生を抑制することが示唆されたことから、消化管がんの予防や治療法の開発に向けた新たなアプローチの開発が期待される(DOI: 10.1101/gr.278326.123 )。
情報源 |
九州大学 NEWS
国立環境研究所 報道発表 |
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機関 | 九州大学 国立環境研究所 |
分野 |
健康・化学物質 |
キーワード | 突然変異 | 酸化ストレス | マウス実験 | 消化管がん | DNA修復機構 | DNA変異 | MUTYH酵素 | グアニン酸化 | がん発生メカニズム | 大腸がん家系 |
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