東京理科大学の研究グループは、「機械学習(ML)モデル」を用いて高エネルギー密度を有する「ナトリウムイオン電池(SIB; sodium ion battery)」用の遷移金属層状酸化物の材料探索と電気化学特性の予測を行った。再生可能エネルギーの普及に伴い、リチウムイオン電池(LIB)に代わる次世代の蓄電技術としてSIBが注目されている。SIBの実用化に当たっては、正極材料であるナトリウム含有遷移金属層状酸化物が、結晶構造や組成によって性能が左右ことが大きな課題となっている。──本研究では先ず、SIB用層状酸化物100サンプルのデータベースを基に、正極材料の組成、初期放電容量、平均放電電圧、容量維持率を予測するMLモデルを開発した。次に、当該MLモデルに基づいて「Na[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2 (MNTF)」を合成し、定電流充放電試験した。その結果、初期放電容量169 mAh/g、平均放電電圧3.22 V、エネルギー密度549 Wh/kgという優れた性能を示すことが分かり、MLモデルの予測値とほぼ一致することも確認された。他方、20サイクル後の容量維持率は83.0%(実測値)となり、予測値の92.3%より低い結果となったが、これは充放電反応中の結晶構造の変化や粒子の亀裂に起因するものと考えられた。今後の研究では、こうしたギャップの発生を考慮したMLモデルを確立し、容量維持率の予測精度を向上させる方針だ。SIB電池開発の迅速化と低コスト化への貢献が期待される。
情報源 |
東京理科大学 プレスリリース
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機関 | 東京理科大学 |
分野 |
環境総合 |
キーワード | 再生可能エネルギー | エネルギー密度 | ナトリウムイオン電池 | 機械学習 | 結晶構造 | 遷移金属層状酸化物 | 初期放電容量 | 平均放電電圧 | 容量維持率 | 粒子の亀裂 |
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