海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループは、深海微生物が陸上微生物とは異なる独自のセルロース分解メカニズムを持つことを明らかにした。──セルロースは地球上で最大のバイオマス量を占め、微生物による分解は地球規模の炭素循環に重要な役割を果たしている。今回、同研究グループが富山湾の水深800メートルから新たに分離した深海微生物TOYAMA8株と、野間岬沖200メートルから分離したMarinagarivorans cellulosilyticus GE09株のセルラーゼの特性を調査した結果、これらの菌株は細胞膜に結合した高分子量のセルラーゼを生産し、効率的にセルロースを分解していることが判明した。陸上微生物が大量の酵素を細胞外に放出するのに対し、深海微生物は酵素を細胞表面に保持し、分解産物を無駄なく取り込む。この適応は深海の栄養が乏しい環境に由来すると考えられた。また、深海微生物はセルロース以外の植物由来多糖も分解できるが、海藻由来の多糖は分解できないことがわかった。これらの成果は、持続可能なバイオリファイナリー技術やカーボンニュートラル実現に向けた新たな可能性を示している。
情報源 |
海洋研究開発機構 プレスリリース
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機関 | 海洋研究開発機構 |
分野 |
自然環境 |
キーワード | バイオリファイナリー | バイオマス | 炭素循環 | カーボンニュートラル | 深海環境 | 深海微生物 | セルロース分解 | 高分子量セルラーゼ | 栄養適応 | 植物由来多糖 |
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