富山大学の研究グループは、651種類の農薬関連化合物をスクリーニングし、7つの化合物が血漿タンパク質トランスサイレチン(TTR)の異常凝集を抑制することを発見した。──近年、農薬の適正管理や安全性向上が図られ、毒物として分類される農薬の数は減少しつつある。そのため、創薬分野では農薬を新薬の資源として活用することが現実的な選択肢となっているという。本研究では、コンピューターシミュレーションと実験的評価を通じて、TTRアミロイド線維形成を阻害する14種類の候補化合物を選定し、その中から7種類の有効な化合物を特定している。なかでも、除草剤の成分であるアイオキシニルとアクロニフェンがTTRに対して高い結合親和性を示し、異常凝集を効率よく抑制できることが確認された。──この発見は、化学物質が諸刃の剣であることを示す典型的な事例と言える。農薬は環境や健康に対するリスクを伴う一方で、希少難病の治療薬としての可能性も秘めている。化学物質規制とは対極的な視座からデザインされた研究の動向に注目したい。
情報源 |
富山大学 TOPICS(プレスリリース)
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機関 | 富山大学 |
分野 |
健康・化学物質 |
キーワード | 安全性評価 | 農薬関連化合物 | トランスサイレチン | アミロイドーシス | 異常凝集 | アイオキシニル | アクロニフェン | 治療薬 | 結合親和性 | 構造最適化 |
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