環境省は、令和6年度「化学物質環境実態調査(通称:黒本調査)」の結果概要を公表した。調査対象物質は施策上の必要性を考慮し、分析法の妥当性やリスクの観点を踏まえ、中央環境審議会環境保健部会化学物質評価専門委員会の評価を経て選定された。初期環境調査・詳細環境調査・モニタリング調査の三体系で取りまとめられた。
黒本調査は昭和49年度に開始され、昭和54年度にはプライオリティリストに基づく総点検枠組みが整備された。平成14年度以降は、化管法の施行やPOPs条約採択等を踏まえ、政策活用を重視した要望物質中心の選定方式へ転換し、平成18年度には現行の三体系へ再編、平成22年度には排出情報の考慮や調査頻度の見直しが行われた。制度・国際条約と接続した継続的モニタリングが特徴である。
「初期環境調査」は高濃度が予想される地域でデータを取得し、化管法の指定検討などの基礎資料とする。「詳細環境調査」は優先評価化学物質の全国ばく露評価の資料を提供する。「モニタリング調査」は化審法の第一種特定化学物質やPOPs条約対象物質の残留の経年変化を把握する。いずれも精査・解析の検討会を通じて品質管理が行われる。
令和6年度は、初期環境調査で水質のりん酸トリエステル類、底質のトリブチルアミン、大気のアリルアルコール等が検出された。詳細環境調査では水質でアクリル酸及びそのエステル類、アルキル硫酸塩類、第四級アンモニウム塩類、底質でアルカノール類、大気でアクリル酸が検出された。モニタリングではPCB類、ヘキサクロロベンゼン、PFOS、PFOAなど11物質(群)を対象に、平成14年度以降の推移が総じて水質・底質・生物・大気で横ばい〜漸減傾向という結果が得られた。また、港湾・大都市圏沿岸の準閉鎖系海域や人口密集地近傍の沿岸魚類で相対的高濃度が示され、PFHxS、短鎖塩素化パラフィン類、デクロランプラス類、UV-328なども媒体横断で検出されたという。次年度には「令和7年度版 化学物質と環境」として詳細が公表予定であり、化審法・化管法・POPs条約に基づく施策の基礎データとして活用されるという。