気温の高い季節には水分摂取が重要とされてきたが、その必要量がどの程度変化するのかは定量的には十分に示されてこなかった。
東北大学の研究グループは、高齢者の日常生活における体内の水の動きを国際標準法で測定し、夏季には水の代謝回転量が春季より1日あたり約640 mL増加することを示した(掲載誌:Scientific Reports)。
研究では、京都府亀岡市に在住する65歳以上の高齢者26人を対象に、春季(平均気温19℃)と夏季(平均29℃、最高35℃)の2回、日常生活下で調査を実施した。体内の水の動きとエネルギー消費量の測定には、安定同位体で標識した水を用いる二重標識水法を採用し、約2週間にわたり追跡した。同時に身体活動量やエネルギー摂取量も把握し、季節差との関係を検証した。その結果、夏季には体内の水の代謝回転量が春季と比べて平均で約640mL/日増加した一方、エネルギー消費量は平均で約149kcal/日低下していた。暑さにより全体的な身体活動量は減少する傾向がみられたが、個人差に着目すると、夏季でも身体活動が維持されている人ほど水の代謝回転量が大きい傾向が確認された。
研究グループは、暑熱環境下では身体活動と水分代謝が密接に関連していると述べている。今後は対象者数を拡大した研究を進め、身体活動量や体格の違いを考慮した水分摂取の目安づくりにつなげたいとしている。