順天堂大学医学部眼科学講座の研究グループは、花粉症研究用スマートフォンアプリを通じて収集したデータを解析し、花粉症の症状と黄砂・PM2.5の飛散量との関連を評価した。本研究では、花粉症の自覚症状と生活の質(QoL)に対して、黄砂・PM2.5が花粉飛散量とは独立して影響する可能性を検討している(掲載誌:Allergology International)。
解析には、2018年2月から2023年5月までに、花粉症研究用スマホアプリ「アレルサーチ®」を通じて国内から収集された参加者6,468名分のデータが用いられた。参加者は鼻症状や眼症状など9項目から成る症状スコアおよびQoLに関する質問票に回答し、その回答を都道府県単位の花粉飛散量および黄砂・PM2.5飛散量のデータと突合した。
その結果、黄砂・PM2.5の飛散量が多い条件では、花粉飛散量が少ない場合と比較して、鼻水や鼻づまり、眼のかゆみなど複数の症状スコアおよびQoLスコアが有意に悪化していた。また、多変量解析により、黄砂・PM2.5は花粉飛散量とは独立して花粉症症状と関連していることが示された。黄砂・PM2.5飛散時に症状の増悪を自覚すると回答した参加者は全体の約4割を占めていた。
研究グループは、スマホアプリを通じた情報提供や黄砂・PM2.5飛散量の事前通知によって、症状が増悪しやすい人に対する暴露回避行動を促せる可能性があるとしている。一方で、本研究は自己申告データに基づく観察研究であり、因果関係の解釈には慎重な検討が必要であるとしている。