東京科学大学大学院医歯学総合研究科の森田准教授ら(公衆衛生学分野)は、Johns Hopkins大学の研究者と協力し、日本人12,147名を対象に、ソーシャルキャピタルが気候変動対策への支持に与える影響を調査した。この調査は、懸賞付きウェブ調査を用いて実施され、先行研究(Putnam, 1993)のフレームワークを援用して分析が行われた。──ソーシャルキャピタルとは、人々とのつながりを通じて得られる情報や支援などの資源・諸利益を指す。調査の結果、ソーシャルキャピタルが強い人や、つながっている人々との間に共通点が多い人ほど、政府が推奨する気候変動緩和策を積極的に実践していることが明らかになった。また、同質的な社会的ネットワークの多様性が高いほど、気候保全行動の数が多くなることが確認された。一方、異質的な社会的ネットワークの多様性も気候保全行動に影響を与えるが、同質的なネットワークほど強い関連性は認められなかった。──本研究は、ソーシャルキャピタル等が脱炭素化社会の実現を後押しする可能性を示唆しており、具体的な脱炭素化対策を検討する上で重要な指針となることが期待される(掲載誌:Journal of Environmental Management)。