北海道西興部村において、ヒグマと人間の活動パターンの関係性を明らかにする調査が行われた。研究を主導したのは、信州大学・野生動物管理学研究室の池田助教らのチームである。調査方法として、秋季にわたり10年間にわたるカメラトラップ(自動撮影装置)を用いた長期観察を実施。ヒグマと人間の活動時間帯を比較し、両者の行動の重なりを定量的に評価した。その結果、ヒグマは主に夜間、人間は日中に活動しており、両者の活動パターンの重複率は低かった。これはヒグマが人間を避けて行動していることを示すが、日の出・日の入り前後には活動が交差し、遭遇リスクが高まることも判明した。本研究は、ヒグマの行動特性を地域での対策に活かすための基礎的な知見を提供するものであり、今後のヒグマ管理施策の検討材料の一つとなることが期待される。