農研機構(NARO)は、複数農薬の累積的な生態リスクを評価する新ツール「NIAES-CERAP2」を公開した。これは、従来の「NIAES-CERAP」に改良を加えたもので、農薬の使用による水生生物への影響をより簡便かつ定量的に評価できるよう設計されている。
NIAES-CERAPは、種の感受性分布(SSD)を用いて農薬の生態リスクを評価する手法に、複合影響予測モデルを組み合わせたものである。今回の改良では、①農薬の河川水中濃度予測モデルとの統合により、ユーザーが河川水中濃度を入力する必要がなくなったこと、②従来のExcelベースからWebアプリケーションへの移行により、操作性と利便性が大幅に向上した。
ユーザーは、農薬ラベルに記載された使用量や使用方法を入力するだけで、河川水中の予測濃度とそれに基づく生態リスク評価を得ることができる。これにより、農薬の使用による環境負荷が「見える化」され、環境保全型農業への転換効果を事前にシミュレーションすることが可能となる。