筑波大学システム情報系・小平大輔助教らの研究グループは、深層強化学習AIを用いて、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力供給システムの運用を最適化する手法を開発した(掲載誌:IEEE ACCESS)。この手法を適用することで、電力市場で発生する「インバランス料金」を最大47%削減できるという。
インバランス料金とは、発電事業者が提出する計画発電量と実際の供給量に差が生じた際に発生する罰則的な費用のこと。天候に左右されやすい電源では発生リスクが高く、需給が逼迫する時間帯では単価が急騰し、数時間で数十万円規模の損失が生じる可能性がある。また、2026年4月にはインバランス料金の上限単価が現行の200円/kWhから300円/kWhへ引き上げられる予定であり、発電量の高精度な制御が喫緊の課題となっている。
本手法は、過去の天候・市場価格データを学習したAIが「電池の充放電スケジュールを自律的に最適化する」仕組み。インバランス料金を直接考慮した報酬設計プロセスを導入し、予測と実績のずれに対して短期的な補正を加えることで、現実的な運用を可能にした。実際の市場データを用いたシミュレーションでは、従来の数式モデルや他のAI手法と比較して、インバランス料金を大幅に削減できることが実証されている。
収益性と安定性を両立しながら市場ルールに適合する運用を実現するものであり、再生可能エネルギーの安定供給に貢献する技術と位置づけられる。今後は、実設備による実証実験を通じて現場での有効性を検証し、家庭用蓄電池や電気自動車を統合管理する仮想発電所(VPP)構築への展開が期待される。
| 情報源 |
TSUKUBA JOURNAL
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|---|---|
| 機関 | 筑波大学 |
| 分野 |
環境総合 |
| キーワード | 再生可能エネルギー | 太陽光発電 | 蓄電池 | 仮想発電所 | インバランス料金 | 電力市場 | 需給調整 | 深層強化学習 | AI最適化 | 電力データ活用事業 |
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