東北大学大学院農学研究科の西谷豪准教授らは、赤潮原因プランクトンに寄生して殺藻する「寄生性渦鞭毛藻(Amoebophrya 属)」を世界で初めて発見し、単離・培養に成功した(掲載誌:Communications Biology)。本種はカレニア・ミキモトイに対してのみ高い殺藻効果を示すことが室内培養実験で確認された。
赤潮は各地で漁業被害をもたらしてきた。カレニア・ミキモトイは日本沿岸で赤潮を形成し、過去 30 年間の漁業被害総額は約 90 億円と推定されている。現場海域では高密度になる年と低密度になる年の差が大きく、対応の難しさが指摘されてきた。本研究では、日本沿岸を中心に問題となる本種を対象とした。
研究グループは、大阪湾から新規の「寄生性渦鞭毛藻」を単離し、室内培養で増殖生理を検討した。その結果、寄生生物を添加した系ではカレニア・ミキモトイの密度が短期間で大幅に抑えられ、珪藻などの無害なプランクトンには寄生しない選択性が示された。寄生初期から宿主細胞の破裂放出に至る生活環はおおむね 3〜4 日で完結した。
研究グループは、寄生が起こりやすい環境条件の解明が、赤潮発生規模や収束時期の予測に結び付くとみている。将来的には、寄生生物を「天敵生物(天敵製剤)」として利用する新たな赤潮プランクトン防除法の開発への応用を視野に入れている。本研究は、日本学術振興会科学研究費、農林水産技術会議の事業、大阪湾広域臨海環境整備センター、変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)の資金による。
| 情報源 |
東北大学 プレスリリース・研究成果
大阪府立環境農林水産総合研究所 報道発表 水産研究・教育機構 プレスリリース 北海道立総合研究機構 プレスリリース |
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| 機関 | 東北大学 大阪府立環境農林水産総合研究所 水産研究・教育機構(FRA) 北海道立総合研究機構 |
| 分野 |
水・土壌環境 |
| キーワード | 赤潮 | 沿岸生態系 | 漁業被害 | 生物防除 | カレニア・ミキモトイ | 寄生性渦鞭毛藻 | Amoebophrya | 殺藻 | 室内培養実験 | 宿主選択性 |
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