(独)海洋研究開発機構は、海洋深層の貯熱量が全球広域で増加していると発表した。今回、同機構の地球環境変動領域海洋環境変動研究プログラム海洋循環研究チームでは、1990年代に世界海洋循環実験(WOCE)のもとで行われた高精度観測と、2000年以降のWOCE再観測の結果を比較し、1985年から2007年までの最近約20年における全球での海洋深層の水温変化を明らかにした。また、その結果に基づいて、全球海洋深層での貯熱量増加を推定するとともに、同化モデルを用いてその信頼性の評価を行い、海洋深層での貯熱量増加量が海洋表層の8-20%に当たることを示した。今回の研究で推定した増加量は、地球の気候変動を理解するために必須である地球の熱の配分を把握する上で、海洋深層の近年の貯熱量増加が無視できない量であることを示している。また、現在の海洋深層の観測網により、どの程度の信頼性で海洋深層の貯熱量を把握できるのかを示したものであり、今後、推定の信頼性を上げるためには、継続的な観測、及び、観測網の強化が必要であることを示した点で重要だという。