大学研究室紹介

「自然資源の保全と持続可能な利用」(金子与止男教授)

岩手県立大学総合政策学部 環境政策講座金子研究室

研究内容

  • テーマ:
  • 自然資源の保全と持続可能な利用
  • 概要:
  • ワシントン条約や国際捕鯨取締条約など、生物関連の国際条約の意思決定過程に関心があり、その研究をおこなっています。
    これら国際環境条約、特に野生動植物関連条約の生成発展過程と日本の環境外交政策の変遷及び環境政策の意思決定プロセスについて、当事者として直接関与してきた立場から、研究をおこなうと同時に、研究成果に基づいて日本政府にアドバイスをおこなうなど、実際の現場に活かしています。
    また、世界の両生類全種を絶滅のおそれの度合いに応じて分類しようという壮大なプロジェクトに参加しました。まもなくそれをまとめた書籍が出版されることになっています。
    このほか、山菜をはじめとする自然のめぐみを日本人がどのように利用してきたかについても興味があります。生物多様性条約の一目的である「生物多様性の構成要素の持続可能な利用」が生物多様性保全に及ぼす影響について、国内および国外において事例研究をおこなうとともに、保全のための必須条件として、地域住民への利益をどのように保証するかについて、考察しています。
  • キーワード:
  • 野生生物条約, ワシントン条約, 生物多様性, 保全と持続可能な利用
  • 学部体系:
  • 人文社会科学系(国際関係学系), 農学・生命科学系(農学・生命科学系)
  • 研究分野:
  • 地球環境(その他地球環境関連)、自然環境(生態系の監視・保全関連, その他自然環境関連)

    同条約は野生生物の国際取引の規制を通じて、生物の保全と持続可能な利用を図るもの。2年半に1回の割りで、大きな会議が開かれる。

    採集した卵は孵化、育成され、数年でワニ皮が市場に。1卵あたり1600円を州政府に払う。その収益で政府は、湿地を管理する。この30年で親ワニの個体数が大きく増加した保全と利用の成功例。

    夏の八幡平実習(環境調査実習)での一コマ

    研究室概要

  • 大学・研究室名:
  • 岩手県立大学総合政策学部 環境政策講座金子研究室
  • 先生のプロフィール:
  • 氏名:
    金子与止男
    出身大学:
    新潟大学農学部
    出身大学院:
    東京大学大学院農学系研究科
    卒業研究のテーマと概要:
    学部:鳥類の生息環境としての森林の位置
    大学院:シジュウカラ類混群の採食生態とその適応的意義
    職歴など:
    国連環境計画、自然資源保全協会など
  • 所属学生の人数:
  • 5人程度
  • 研究室連絡先:
  • 岩手県岩手郡滝沢村滝沢字巣子152-52

    先生からのメッセージ

    この仕事を目指したきっかけ
    半世紀以上前、家の庭をムササビが滑空するような自然に恵まれた環境で生まれ育ちました。動植物関係の分野に進みたいと思い、大学・大学院では、森林に住む鳥類の生態の研究をおこないました。また、北海道や西表など各地を訪れ、日本の多様な自然に触れる機会も得ました。その後、動植物に関する条約であるワシントン条約の事務局(スイス)に勤務することになり、関心は条約、特に動植物を中心とした環境関連条約に拡がり、現在に至っています。
    今後の研究や活動として、専門の国際条約への関心を持続しつつ、地域の諸問題にも積極的に取り組んでいきたいと思います。約40年前に旅行で岩手を訪れたことがありますが、この大学には2006年4月に着任したばかりで、岩手のことはまだあまり知りません。昨年から県全域を対象にいくつかの生物の分布情報を調べています。これは土地鑑を養うことにも役立っています。
    ゼミでは多岐の課題を扱います。学生自身が自発的にテーマを見つけ出すことを期待しています。

    (2009年1月現在)