世界資源研究所と「権利と資源イニシアティブ」(RRI)は、森林に対する地域社会の権利を強化することが、気候変動の緩和と森林の保護、地元住民の生活安定に有効であるとの報告書を発表した。報告書によると、世界中で政府が地域社会や先住民の権利を認める森林には、計377億トンの炭素が固定されているという。これは世界の全乗用車による年間排出量の29倍に相当する。ブラジルやインドネシア、コロンビアなど森林豊かな14カ国について分析した結果、政府が地域社会の権利を強化・執行すれば、森林の違法伐採と炭素排出の防止が進み、森林消失率が低くなることが分かった。このため報告書では各国政府に対し、地域社会への法的権利付与、権利の執行(境界線の提示や違法侵入者の退去措置等)、森林の持続可能な利用等を図る技術支援、森林に影響を及ぼす投資の決定への地域社会の参加、森林のもたらす利益について地域社会への報奨、の5つを提案。また一部の国々でREDD+(森林保全活動に経済的な利益を与える仕組み)が功を奏し地域社会の権利承認が進んでいるものの、政府が地域社会の権利を侵している国があることも指摘した。