欧州環境庁(EEA)は、EUのオゾン層破壊物質(ODS)の消費量が2015年も引き続き減少し、2006年以降の最低水準に達したと報告した。EUでは、ODSの段階的廃止を定めた「ODS規則」により、企業はODSの生産、輸入、輸出、破壊のデータを報告することになっている。このデータをもとに、モントリオール議定書の進展を測る主要な指標となる「消費量」が算定される。消費量は、規制される物質の生産量と輸入量が、輸出量と破壊量を下回る場合にはマイナスとなる。EEAによると、2015年のEUのODS消費量は-3,808トンで、2014年から1,305トン減少した。消費量が減少した背景には、輸入量の減少(2014年比で12%減)や規制対象物質の破壊処理量の増加があるという。皮膚ガンなど健康被害の原因となり、作物や海洋植物プランクトンにも有害な紫外線の大部分は成層圏オゾン層が吸収して地上には届かない。しかしODSはこのオゾン層を破壊するため、モントリール議定書が発効した1989年以降、世界各地でODSの代替物質への切り替えが進んでいる。