欧州環境庁(EEA)は、循環型経済の原則が、建築物の改修の利点をいかに高めることができるかを調査した。建築物の改修は、エネルギー効率の向上と2050年までに気候中立を目指す欧州連合(EU)の目標達成に、重要な役割を果たす。建築物は多くの材料資源とエネルギーを消費するため、欧州の環境・気候政策において重要な役割を担っている。取り壊す代わりに修繕や改修によって既存の建物の寿命を延ばす、空間を多機能化するなどして建物をより効率的に使用する、リサイクルや解体が可能な材料を使用するなどの循環型改修戦略により、2022年から2050年にかけて、累積で約6億5000万トンの建材を削減し、相当量の二酸化炭素を削減することが可能である。なお、欧州委員会(EC)は現在、建築物の全ライフサイクル炭素削減のためのEUロードマップを策定している。ライフサイクル全体での排出は、「建設資材規則」と「建物のエネルギー性能指令に関する指令」の改正案でも取り上げられている。