欧州委員会は、循環型社会に向けたEUの廃棄物発生抑制とリサイクルの取り組みについて、一部の加盟国で大幅に前進しつつも、EU全体では改善の余地が未だ大きいとする報告書を発表した。これによると、ほとんどの加盟国で廃棄物総量は増加しているが、その増加率は経済成長率より低く抑えられ、過去10年間で家庭での消費は増えているが、一般廃棄物はほぼ横ばいで推移した。ただし家庭で購入する食料の25%が廃棄されていることなどから、一般廃棄物のさらなる発生抑制が可能という。また、リサイクル率は数%から70%と加盟国間で大きな差があり、その改善に向けて、埋立て禁止や拡大生産者責任の概念の適用などの法的・経済的措置をはじめ、製品設計と廃棄物政策との一貫性の強化、利害関係者の参画や国民意識の向上などが必要と指摘している。さらに、法整備については、EUの新たな廃棄物枠組み指令(ライフサイクル全体にわたる「発生抑制、再使用、再生利用、回収、廃棄」の優先順での廃棄物管理)が多くの加盟国で国内法に導入されておらず、各国法令の実施と執行について監視強化が必要だという。