アメリカの地質学者らの研究チームは、地球史上最大の大量絶滅は数十万年にわたりゆっくりと進行したとする報告書を発表した。地球史上最大の大量絶滅は約2億5200万年前のペルム紀末に起き、地球上の生物種の約90%が死滅したとされる。これまで、この大絶滅は、突然、地球全体でほぼ同時に起きたと推測されていたが、最近ではこの見解への疑問も生じている。今回の研究では、カナダ北極圏に位置するエルズミーア島のP-T境界(ペルム紀-三畳紀)の堆積岩層で、大絶滅期に形成された堆積物の化学的組成や化石を調査した。その結果、海生生物の多くが絶滅した時期より10万年も前に海綿動物の一部が死滅していたことや、大絶滅と、シベリア・トラップ(シベリア火山による広大な火山岩岩石区)を形成した大規模な火山爆発との関連性から、科学者らは、火山爆発が、まず、有毒ガスや火山灰を噴出させ寒帯の生物に影響を及ぼし、さらに温室効果の極めて強いメタンを大量に放出したと考えた。その温室効果は数万年から数十万年にわたって続き、生物の大絶滅が進んだと推察している。