東北大学原子分子材料科学高等研究機構は、(株)日立製作所との共同研究により、高耐熱全固体リチウムイオン二次電池の基礎技術を開発したと発表した。近年、高温環境下でのリチウムイオン二次電池の利用をめざし、不揮発性の固体電解質材料の開発が進められてきた。しかし、固体電解質材料は有機電解液に比べてリチウムイオン伝導性が低いため、実用化に向けて電池内部の抵抗を低減する必要があった。今回、東北大学が開発した「LiBH4系錯体水素化物」を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電性能の低下要因となる電池内の内部抵抗を低減する技術を新たに開発。外気温150℃の環境において理論容量の90%の電池動作を実証した。同技術により、エンジンルームに搭載する自動車用の電源や大型産業機械に搭載するモータ用の電源、滅菌加熱が必要とされる医療用機器電源など、高温環境下での電池使用を可能とする。また、従来のリチウムイオン二次電池が必要としていた冷却機構が不要となることにより、電池システムの小型化とコスト低減が期待できるという。