名古屋工業大学、北見工業大学、東北大学、(一財)日本気象協会の研究グループは、訪日外国人の熱中症リスクを試算した。同グループは、個人の特性や属性を考慮した熱中症リスク評価技術や、気象予報データなどを活用した評価システムの開発に取り組んできた。今回、気温とヒトの代謝に関する既往研究などを踏まえて、日本の夏を想定した熱中症リスクを、出身地域の属する気候帯別(冷帯・温帯・熱帯)に検討した。その結果、1)「温熱調整系の相違」は出身地域に依存することが再確認され、2)暑熱順化(暑さへの慣れ)と体温上昇等「生体応答の推定」に成功した。これらの成果は、熱中症を気にしはじめる温度が出身地域により異なるといった知見(2016年、同グループのアンケート調査)と合致するものであり、暑熱順化していない外国人(冷帯出身者)が夏に来訪したときの体温上昇が日本人(温帯出身者)の2~3倍になることを示唆しているという。