北海道大学と龍谷大学の研究グループは、森林の「葉量の年変動」と気象要因の関係を解明し、気候変動による影響予測モデルの精度向上に資する成果が得られたと発表した。同研究グループは、過去6年間のデータを解析した結果、森林全体の葉の面積を表す指標である「葉面積指数(LAI)」が夏の平均気温と強い正の相関(相関係数:0.93)を有することを見出し、1)森林における葉の入れ替わりに6年を要することや、6年間の夏の平均気温がLAIの毎年の変動を引き起こしていることを明らかにした。一方、解析の過程において、2)大型の樹木が小型の樹木の葉面積を奪うように増加することで、森林全体の葉面積指数が維持されること、3)LAIの増加(光合成生産の増大)は「幹バイオマス(単位面積当たりの樹木の乾燥重量)」には影響しておらず、夏の降水量と有意な関係にあることなどを見出した。これらの研究成果は、森林の葉面積指数やCO2吸収に関する知見を組み込んだ影響予測モデルへの貢献が期待できるものであるという。