東京理科大学など5大学と(国研)産業技術総合研究所など3機関の共同研究グループは、イネの種子が発達・肥大する過程(登熟期)において「オートファジー(自食作用)」が不可欠であると発表した。同研究グループは、動物のみならず植物にもオートファジーの分子メカニズムが保存されていることや、地球温暖化に伴う米の収量・品質低下への懸念があることから、花粉形成などイネのさまざまな機能におけるオートファジーの役割などを解明してきた。今回、オートファジー能を欠損したイネの変異体(以下「欠損変異株」)から得た種子を、野生型株の種子と比較したところ、欠損変異株の種子が相対的に小さいことや、胚乳のなかの澱粉粒に空隙(澱粉蓄積に異常)が生じて白濁化する、近年大きな社会問題となっている米の品質低下と類似の現象が見られることが分かった。また、詳細な解析や成分分析により、胚乳のなかでは澱粉を分解する酵素の活性が増して、糖の量が増加することや、高温ストレス応答に対するオートファジーの関与が示唆された。白米(胚乳)の品質低下防止技術の開発につながる新知見であるという。