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 国環研など、「いぶき」が捉えた大規模メタン放出源の動態を報告

発表日:2021.12.14


  国立環境研究所を中心とする研究グループは、衛星観測データに基づいて、南米大陸に在る世界有数の湿地帯全体から放出されているメタンガスを推定し、その年々変動に関する新知見を得ることに成功した。湿原はCO2に次ぐGHGの主要な発生源と見られており、湿原由来のメタンは自然界から放出されるメタン全体の6~8割を占め、人為由来メタンの3分の1に相当すると考えられている。同研究グループは、大気中のメタン濃度に対する湿原由来メタンの影響をかんがみ、年々変動を生じさせる要因・メカニズムの全容解明に迫るために、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」のデータを用いて、ブラジル南部からアルゼンチン北東部へと南米大陸中央を縦断するパラグアイ川・パラナ川の流域(以下「南米亜熱帯地域」)におけるメタンガス放出量の変化を解析した(対象期間:2009~2015年)。その結果、南米亜熱帯地域からのメタン放出量の年々変動は、降水量・冠水面積の変動によって引き起こされていることが明らかになり、全球メタン排出量の年々変動にも影響をおよぼしていることが示唆された。気候変動シナリオに基づくシミュレーションでは南米亜熱帯地域の降水量が将来増加すると予想されている。温暖化に伴う湿原面積・冠水面積の詳細なモニタリングや、詳細な時空間スケールの解析に向けた陸域シミュレーションモデルの精緻化などが求められるという。

情報源 国立環境研究所 報道発表
機関 国立環境研究所
分野 地球環境
キーワード モニタリング | GOSAT | 気候変動 | 温室効果ガス | メタン | いぶき | ブラジル | アルゼンチン | 陸域シミュレーションモデル | 南米大陸
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